04 The Catch
でも——あなたの r は、
平均の r じゃない
ここがいちばん大事なので、太字でいきます。
ピケティの r は「社会ぜんぶの平均」。
あなた個人がもらえる r とは、別物です。
「r > g なんだから、投資すれば勝ち確じゃん」。そう読みたくなりますよね。
でも、そこには落とし穴が3つあります。
落とし穴①:大きいお金ほど、有利
ピケティ自身が、こう書いています。
アメリカの大学が運用しているお金(基金)を調べると、
- ぜんぶの大学の平均リターン:年 8.2%
- 資産トップ3校(ハーバード等):年 10.2%
- 規模の小さい大学:年 6.2% くらい
同じ「資本」でも、大きいほど高く回る。r は一律じゃなくて、持ってる額で差がつくんです。
だから「平均が4%」でも、小口のあなたがそのまま4%もらえるとは限らない。
落とし穴②:手数料・税金・為替が、r を削る
増えたぶんが、まるまる手元に残るわけじゃありません。
- (手数料)… 持っているだけで毎年かかるコスト。
- 税金 … 日本では、利益に約 20.315%。100万円もうけても、約20万円は持っていかれる。
- … 世界の株に投資すると、円高になっただけで目減りすることも。
これだけで、r は静かに削られていきます。
落とし穴③:自分の感情が、いちばん r を壊す
これは数字がはっきり出ています。
市場が上がる「ファンド自体のリターン」と、投資家が「実際に手にしたリターン」には、ズレがあります。
理由はかんたん。みんな、高いとき買って、怖くなって安いとき売るから。
- アメリカの調査(・2024年)では、S&P500が +25.02% 上がった年に、平均的な投資家のリターンは +16.54% どまり。差は8.48%。市場はあったのに、自分の売り買いで取りこぼした。
- 別の調査(モーニングスター)でも、投資家は10年間ずっと、ファンドのリターンより 毎年およそ1.2% 少なくしか取れていない。総リターンの約15%を、自分で捨てている計算です。
つまり、r > g が正しくても、狼狽売りした瞬間、あなたの r はマイナスに落ちる。
(本編のQ&Aにもありましたよね。「日々の値動きで売り買いするのは、初心者がやってはいけないNo.1」。理由は、これです。)
ユメ
ユメちゃん(初心者)
平均が4%なら、私も4%もらえるんじゃないの? マリ
マリ先輩(投資歴10年)
それがね、手数料と税金と"怖くて売っちゃう"で、けっこう減るの。だから、ほっとくと平均より下がりやすいんだ。 ただし、正直に補足します
この「感情で年1.2%も損してる」という数字には、最近 反論も出ました。学者チームが計算し直すと、純粋にタイミングの失敗で減るのは「年0.10%にすぎない」という指摘です(Financial Analysts Journal・2026年)。
さらに、さっきの DALBAR も、翌2025年は差がたった0.72%(1985年以来3番目に小さい)でした。
だから「みんな必ず大損する」は言いすぎ。でも「感情で売り買いすると、平均して損をしがち」という大きな傾向は、どの調査でも変わりません。